2020年度 ゼミ合宿活動報告 重冨真一ゼミ
YISAでは国際学部のゼミ合宿への補助を行っております。
昨年のゼミ合宿の活動を報告いたします。
2020年11月14日 重冨真一ゼミ/長野県、小諸市
18ks 水上さん
合宿内容; 長野県小諸市での日帰り調査。
・直売所見学(2か所)
・懐古園散策
・ワイナリー「Terre de ciel」と圃場見学、経営者インタビュー
・稲作農家インタビュー
まずはじめに、私は、今回訪れた小諸市のすぐ近くの上田市出身で、重冨先生・ゼミ生と共に地元を訪れることができ、みんなが地元の良さを実際に感じてくれていたことを非常に嬉しく感じた。自分自身も幼い頃から利用してきた直売所の歴史、役割を詳しく市役所農林課の方から教えていただき、地域の人々が新鮮でおいしい、安心できる農産物を購入できるだけでなく、出品する人々の生きがいの一つになっていたり、高齢者のコミュニケーションの場であったりと、新たな直売所の魅力を学ぶことができた。

ワイナリー「Terre de ciel」の見学では、経営者の池田さんが、定年退職後に自らワイン葡萄を栽培し、その葡萄でワイン醸造をはじめた経緯、苦労、こだわりなど貴重なお話を伺った。池田さんの圃場は、ワイン葡萄の栽培には不利といわれる高い標高にあるが、凍害防止の作業をしっかりと施せば、日射量抜群と強風の風土を活かしたワイン葡萄栽培をすることができる。市場には外国産の安価でおいしいワインが多い中で、“自然派ワイン”という強いこだわりを付加価値として生み出し、「少し高額でもおいしいワインを飲んでほしい」というモットーで葡萄栽培、ワイン醸造に非常にこだわっていた。取引先は、ホテルやレストラン、県外からの観光客が主であったが、コロナ禍でSNSや通販に転換した。ふるさと納税の返礼品にもなっており、ワイン部門のなかでは全国的にも上位に入るほどの人気であるという。
稲作農家の樫山さんのインタビューからは、農業人口の減少、高齢化が顕著に感じられたうえ、稲作をするには非効率な中山間地域での稲作の困難さを学んだ。樫山さんは40代後半で、地域の貴重な若手稲作農家である。そのため、農家の高齢化が進み、多くの地主から委託されて80枚以上の田を所有し、米作りを行っており、地域の他の2名の若手稲作農家と協力しながら地域の水田を守っている。あまりに水田の数が多いため、3人で法人化する方向で話が進んでいるそう。また、この地区は中山間地域であるため、稲作をするのに非常に非効率であるため、効率化を図るために交換分合、基盤整備の話が進んでいるが、全ての地主の許可が必要であり、土地所有に関してはそれぞれの事情や地域社会ならではの課題があるため、今後この計画がどのような方向に進むのか、気になる点である。
18ks 石井さん
合宿内容
長野県小諸市への訪問を通して、日本の農村実態及び農業経営状態を学ぶ。
まず初めに、バイパス沿いという車通りの比較的多い道路に面する産直を訪問した。そこは農家自体が主体となって経営を行う農家であり、経済的なメリットというよりも、やりがいづくりをメインとした産直であった。売っているものを詳しく観察したほか、お店の人や店員さんにも積極的にインタビューを行った。
続いて、質の高い高原野菜を主に取り扱った産直を訪問した。前述した産直とは異なり、高原野菜と呼ばれる葉物野菜が中心に売られていた。比較的、似た種類の野菜が大量においてあった。
続いて、標高約1000メートルのところでブドウ農家と共に営むワイナリーを訪問した。絶景を望むそのワイナリーでは、生産者である池田さんのワインづくりに関する紆余曲折を伺った。定年退職後の夢を追った点など詳しく聞くことができ、農業的観点からの学習のほか、自分のキャリア設計の観点からでも有意義な時間となった。
最後に地元の学習センターで水稲農家を営む方へインタビューを行った。水稲農家としては比較的若い男性であった為、そこでの田んぼの多くを管理しているという事であった。事前学習や本などで農業経営はかなり臨機応変に対応しなければならないという事を知ってはいたのだが、365日休みなく大量の水田を一人で見ていることの大変さを知った。

学んだこと
今回の実習で印象的に残ったことは2つである。
まず一つは、都会と田舎のコミュニティ結束力の違いだ。私は現在一人暮らしをしているのだが、近所の人とコミュニケーションをとったことは1度もない。隣にどんな人がいようと関係ないし、誰が住んでいても不自由しない。隣の人とコミュニケーションをとらずとも、生活が完結してしまうのだ。しかし田舎であるとこういった状況ではなくなる。田舎といっても農家の特徴といった方が良いのかもしれないが、近隣の住民の行動や言動は直接的に自らの生活、家計に間接的に関わってくる。助け合いという観点を強く持っているであろうから、農業技術のノウハウの相談でや、おすそ分けという文化もある。偶然隣になったあかの他人であるが生活の共同体としての結束力が都会より求められるのであるなと感じた。

もう一つは、日本の農業に関していかに自分が無知であったかという点だ。毎日食事をしているのにもかかわらずその食べ物はどこからやってきているのかは全く知らないで生活していた。知ろうともしなかったし、生産者と自分の生活とは別の世界であると敬遠してしまっていた。ところが、今回の実習を通して、食に関する知識を深めることは、自分の生活を豊かにすることとつながっていくなと感じた。この野菜はどういう経路で私の元へ来ていて、どんな問題や壁を越えて食卓に届いているかを知ることで、食に関し感謝を深めることにつながる。生活をする自分の食事やその背景を見直し学ぶことは、自分を見直すことでもあるなと思う。今後は生産者と自分、流通経路などを積極的に学び、感謝して食事をするとともに、食を通して自分自身を見直していきたい。

