取材日: 15-01-2024

取材者: 伊藤 朱夏

 

▽国際学部に入学した理由は何ですか?

 私自身、幼い頃から将来やりたいことが明確に決まっていました。国際学部では、英語のスキルだけでなく学際的な視点も養えると聞いており、将来の目標に役立つと感じたため、入学を決意しました。また、高校時代から漠然と海外に興味を持っており、国際学部であれば「海外らしい学び」を体験できるのではないかと考えたことも、国際学部を選んだ理由の一つです。

 

 

▽将来の夢は何ですか?

 私の将来の夢は、エアラインパイロットになることです。

 

▽いつから、その夢を持ち始めましたか?

 私がエアラインパイロットになりたいと思い始めたのは、小学校3年生頃です。親がパイロットだったこともあり、幼い頃から飛行機が好きでした。「どうしてあんなに大きなものが空を飛べるのだろう」と考えるうちに、自然とパイロットを目指すようになりました。飛行機の一番好きなところは、その迫力ある形と音です。また、飛行機が人々の思いをつなぐ存在であることにも良いと思います。

 

▽国際学部に入学する以外に、パイロットを目指す選択肢はありましたか?

 私立のパイロット養成学部も選択肢の一つとして考えていました。しかし、学費が非常に高額だったため、その道は諦めました。一方、航空大学校への入学は大学2年生修了後から可能であるため、それまでの間、国際学部で学ぶことを選びました。国際学部での幅広い学びにも関心があったので、進学を決めた後は、航空大学校の受験に向けた勉強も並行して行っていました。

 

▽海外に漠然と興味を持ったきっかけは何ですか?

 NBA(ナショナル・バスケットボール・アソシエーション)が一番の理由です。中学校でバスケットボールを始めてから、NBAの試合を見るようになりました。その際、試合の実況を日本語ではなく英語で聞く方が臨場感があって面白いと感じ、自然と英語の実況を好んで聞くようになりました。また、英語でバスケットボールのハイライトシーンを視聴しているうちに、「外国のスポーツってすごいな」と感じるようになり、それがきっかけで海外に漠然とした興味を持つようになりました。

▽現在大学4年生で卒業間近ですがどのような大学生活を送っていましたか?

 大学生活の始まりである1年生の頃は、新型コロナウイルスの影響で授業はほとんどオンラインとなり、課外活動も制限されていました。そのため、アルバイトをして旅行費用を貯めていました。

 

 2年生になると、航空大学校を受験することを決め、それに向けた勉強を本格的に開始しました。同時に、渡航制限の解除を待ちながら初めての海外旅行を計画していました。ようやく渡航制限が緩和され、大学生活で初めての一人旅としてアメリカ・ロサンゼルスを訪れることができました。この旅では、念願だったNBAの試合を生で観戦する夢が叶い、嬉しかったです。滞在中はサンタモニカ、ハリウッド、UCLA大学、ダウンタウンなどを巡り、アメリカの多様な雰囲気を楽しみました。特にダウンタウンでは、多くのホームレスが集まる地域に足を踏み入れ、格差社会の現実に直面しました。奇声を発する人々がいたり、注射器などが落ちていたり、社会的な問題について深く考えるきっかけとなりました。また、この旅では英語を使う場面が多く、駅でバス停を尋ねた際などに苦労したものの、次第に耳が慣れ、少しずつ自信をつけることができました。

 2年生の時に受験した航空大学校の試験には残念ながら落ちてしまいました。その結果、3年生の初めは、改めて航空大学校の勉強に集中することにしました。その一方で、ゼミで仲の良い友人とベトナム旅行を計画し、ダナンやホイアンといった都市を訪れました。ホイアンでは、ベトナムの京都のような趣深い街並みを楽しみましたが、バイクの交通量や信号を守らない風景など、秩序が日本とは異なる様子に驚きました。また、ベトナムは発展途上国としての熱気や活力にあふれており、そのエネルギーを直接感じることができました。ベトナム旅行後は再び航空大学校の勉強に力を入れつつ、就職活動にも取り組みました。

 4年生の初めには卒論を進めながら、6月1日付けで内々定をもらったものの、実感が湧かず、英語や物理など航空大学校の勉強を続けていました。内定から1ヶ月ほど経った後、旅行で台湾、沖縄、シンガポール、マレーシア、タイ、ベトナム、ロサンゼルス、シアトル、香港、マカオを訪れました。さらに、今月はイタリアとスペインに行く予定です。元々旅行が好きで、世界観を広げることが好きでしたが、航空大学校の勉強とのバランスを考えると、勉強の方が重要だと感じていたため、これまで我慢していました。しかし、内定をいただいてからは、行きたかった場所を次々に訪れることができています。

▽航空大学校と国際学部の勉強の両立は大変でしたか?

 航空大学校と国際学部の勉強の両立は、今振り返るとかなり大変だったと感じます。航空大学校の勉強範囲は非常に広く、数I、数II、数A、数B、高校物理(力学、電磁気学、波動)、英語、時事問題など、多岐にわたっていました。1日の流れとしては、まず朝にCNNや英語のニュースを必ず読むようにしていました。通学中は、単語や文法の勉強を行い、電車の中でもできる勉強をしました。学校に着いたら、授業に真剣に取り組み、昼休みや空きコマには図書館で勉強をしました。家に帰ったら少し休憩を取ってから再び勉強するという日々を送っていました。

 

▽旅行していて、国際学部で得た学びや視点を感じたことはありますか?

 旅行中に国際学部で学んだことや得た視点を感じることが多くありました。例えば、アメリカ合衆国の経済格差を目の当たりにしたことです。富裕層と貧困層が同じ街で生活している現実を、現地に行かなければ直接見ることができなかった状況を経済的な視点から理解することができました。また、マカオでは、ポルトガルの支配を受けていたため観光業がGDPの約7割を占めていることを、地誌概説の授業で学びました。実際にマカオの街並みやカジノシステムを、経済的な視点から見ることができ、非常に興味深かったです。地誌概説の授業は、今でも印象に残っており、特に「オーバーツーリズム」の回が印象的でした。この回では、ベネツィアについて触れられていました。ベネツィアは約70年後に沈むと言われており、クルーズ船の波によって岸壁が削られ、浸水被害が拡大していることや、観光客が地元のレストランに立ち寄らず、旅客船で食事を取るため、ベネツィアの経済が潤わないという事実を学びました。観光をしている側だからこそ知らなかったことを、地誌概説の授業を通じて学べたのはとても印象深かったです。

 

 

▽卒業論文は、どんなことを書きましたか?

 卒業論文は、4年生の8月頃に書き始め、「航空と環境の共生」をテーマにしました。近年、脱炭素や温暖化が重要な話題となっていますが、航空業界も国内の二酸化炭素排出量のうち、運輸部門が18%を占めています。これにより、航空業界も脱炭素や温暖化への対応を進めていく必要があると感じ、このテーマを選びました。具体的には、脱炭素と騒音問題に焦点を当てて、航空業界の取り組みを探ることにしました。

 

▽あなたにとって国際学部とは何ですか?

 私にとって国際学部とは、先の見通せない社会の中で、様々な挑戦をしたり、自分の興味や関心を広げるための場所だったと感じています。多様な視点を持つことができ、広い視野で世界を捉えるための基盤を提供してくれました。

 

▽在学生に向けてのメッセージは何ですか?

 現在、将来やりたいことや自分の生き方がはっきりしていない人が多いと思います。しかし、どんなことにも挑戦していれば、意外と道は開けていくものです。だからこそ、挑戦を恐れずに、どんどん新しいことに取り組んでほしいと思います。

 

 

21KS 森野拓翔さん

2021年4月 明治学院大学国際学部入学