【Q&A】大学院ってどんな場所?〜現役大学院生が答える“大学院という選択”〜

 

 YISA Democracy Web(現:国際学部の扉)の記事を読んでいただきありがとうございます。編集長の本田と申します。このコラム記事では大学院進学という選択をした現役大学院生の私が、皆さまが学部1・2年生からでもその選択に向き合えるように大学院という場所について僭越ながら基礎情報を提供しようと思います。この記事をキッカケに「一般企業への就職」という道のほかに、学問への道、大学院への道という選択肢を入れてみてはいかがでしょうか?

 

▷自己紹介

 私は現在、東京の西の方にある一橋大学の大学院で労働経済学を学んでいます。2018年3月に明治学院大学国際学科を卒業しました。学部生の頃はNPO法人に所属し、ベトナムとミャンマーの貧困層の子どもたちに対する国際協力を1年生から3年生まで行っていました。ゼミは岩村英之先生(ヨーロッパにおける貨幣統合が専門)のミクロ経済学のゼミに所属し、先生の下でミクロ経済学と統計学の指導を受けました。国際協力の活動を通じて、社会科学における経済学の重要性を感じ、岩村先生の指導を受け、今に至ります。

 しかし、私自身も大学院受験の際に周りは皆就職活動をしていて、孤独を感じながら、雲を掴むようにして大学院の情報を収集しました。ここに書くものはそのような経験を経て得たあくまでも私の所見であることをご了承ください。

 

 

Q1.大学院ってどんな場所?

 大学院は基本的に修士課程(マスターコース)2年間、博士課程(ドクターコース)3年間で構成されています。大学院側が博士課程までの進学を要請している場合は修士課程を「博士前期課程」、博士課程を「博士後期課程」と名称を変えている場合もありますが、基本的にはどちらも同じです。

 

 修士課程で授業と修士論文執筆を経て卒業すると「〇〇学修士号」、博士課程で授業と博士論文を経て卒業すると「〇〇学博士号(phD)」がもらえます。例えば経済学を学んでいる学生であれば経済学修士、社会学を学んでいる学生であれば社会学修士という具合です。皆さんも学部を卒業すると〇〇学士がもらえます。

 大学院はその大学によって様々な研究科(大学でいう学科のようなもの)が用意されています。例えば明治学院大学であれば文学研究科や国際学研究科、法と経営学研究科など多岐に渡ります。私が通っている一橋大学であれば、社会学研究科、経営管理研究科、経済学研究科などあり、その研究科によって得られる学位が変わってきますのでホームページで確認してみてください。

 

明治学院大学大学院サイト

https://www.meijigakuin.ac.jp/academics/graduate/

 

 

Q2.なぜ大学院に進学するの?

 この問いはシンプルなようで奥が深いように思います。大学院には研究者になることを志望する学生以外にも「企業に就職した際に、会社からよりよい賃金をもらうため」という学生や「母国に帰るといい会社に就職できるから」という外国人の方、「大学卒業して社会にすぐ出たくないから」という学生など様々な学生がいます。博士後期課程ともなれば、キャリアの選択肢がある意味かなり狭まるので学生の大半は研究職志望ですが、修士課程には就職先での好待遇を目的に在籍している学生は多くいます(実際に好待遇が待っているかという問題はさておき、就職希望の学生は研究職志望の学生と比べ、比較的授業中寝ている割合が多いイメージがあります。あくまでも比較的ですが)。ただ、就職に繋がるか否かという点はその研究科や、あなたの研究の内容にもよります。会社にとって高度能力人材だと判断される研究もあれば違う畑の研究もあるので一概に修士課程後の就職に繋がる訳ではありませんね。

因みに私は研究者志望です。

 

 

Q3.どうやって研究科を選ぶの?

 まずはどの大学院を選ぶかという点ですが、大学院受験においては大学入試のように手厚い情報サイトが豊富に用意されている訳ではありません。また、偏差値の高い大学の大学院に進学しても手厚い指導が受けられる保証もありません。

 一番重要且つ実のある考え方は、「自分が興味ある分野で、且つ指導してくれる先生が居るか否か」という考え方です。それが大学院とその研究科を選ぶ決め手になります。名の知れている大学の大学院を受験して、分野にあった指導教官が居なかったというのは本末転倒ですよね。ただ傾向として、大学によってある程度の特色(経済学であれば近代経済学が強いか、政治経済学が強いかなど)があり、その特色によってその分野の研究者が多くいる大学院は自然と絞り込まれてきます。そもそも言語学や国際協力学など日本においてさほど選択肢がない研究科もあるのでそういう研究科はある意味で悩む必要はない場合もありますが、基本的には選択肢はたくさんあるので、一つずつ大学に所属する研究者をサイトで調べていく人海戦術は一先ず有効だと思います。

 

 私は、大学の特色で選択しました。一橋大学の経済学研究科は政治経済学の研究者が比較的多くいて、学部の時に読んだ本で「一橋大学大学院経済学研究科教授」という表記が多く、「自分の研究はこの大学でできるかもしれない」と思い絞っていきました。ちなみに併願する大学院は先述した人海戦術で調べもしましたし、「この大学院にはこの先生がいるから受けてみよう」と指導教官を狙って絞ったこともあります。結果的には一橋の合格は併願する前に出たの で受験はしていませんが、そういう選び方もあります。

 

 また、これは余談ですが、「院生がどれだけいるか」もまた研究科を選ぶ重要な指標になってきます。研究科に1、2人しかいない大学院もありますが、修士課程においては同級生と切磋琢磨して勉強できる環境も重要です。しかし、入学を歓迎され手厚い指導を受けられるという少人数がプラスに働く場合もあるようなので、希望の研究科に院生が少ない場合は実態をヒアリングしてみましょう。

 

※受験前に教員にアポ取って話を聞きにいく方法もありますが、研究者の皆が皆研究で忙しい時間を割いて入学してくるかもわからない学生のために話をしてくれるかは保証しませんので、慎重に進めましょう。私の今の指導教官は非常に優しい方だったので親切に対応していただきましたが、今から考えればどうかなと思います。

 

Web大学・大学院展

http://www.daigakuten.com

 

大学院情報サイト 大学院へ行こう!

http://www.daigakuin.ne.jp