取材日:2024年06月30日
取材者:伊藤 朱夏
▽明治学院大学 国際学部 国際学科に入学した理由はなんですか?
中学生時代の、約2年間を父の仕事の関係でアメリカニューヨーク州郊外の現地校に通っていました。そこで異文化や人種差別問題を肌で感じた経験から、大学では多文化社会について学びたいと考え始めました。
そして、数ある国際学部系の大学をリサーチした結果、明学の国際学部は、黒人の人種差別問題や移民問題の分野に精通した教授陣の層が厚いことを知り、自分が学びたかった「多文化社会の実現に必要なこと」を幅広い視点から考える機会や教育環境が整っているのではないかと思いました。
また、高校3年生の時、「戸塚まつり」とオープンキャンパスで、タイミング良くキャンパスコンシェルジュの方々や教授と話ができたことがきっかけで、本校はボランティアやゼミの活動が充実していて、実践を通して深い学びを実現するための環境も整っていることが分かり、改めて入学する決意をしました。
▽ニューヨークの現地校で、多文化社会や人種差別を肌で感じたエピソードを教えてください。
私の学校で特に表面的な人種差別はなかったのですが、学区で歴然と人種が分かれているのが現実でした。私の通っていた学校は9割強が白人だったので、英語もままならないアジア系の私にとって、馴染むのは簡単ではなかったです。今でも鮮明に覚えている出来事は、保健の授業で、人口マッサージを練習した時のことです。数種類の肌色の人形が用意されている中から自由に選ぶのですが、ほとんどの生徒が白い肌の人形を選んでいた光景がとても印象的でした。
▽この学部に入学してみて、どんな活動をされましたか?
2つのサークルに所属していました。ひとつは、社会問題に関心のある学生が集まる
ボランティアセンターの”海外プログラム事業部”というサークルです。コロナ禍では、思うようなボランティア活動は出来なかったけれど、定期的にオンラインで気になる社会問題のテーマをとりあげて、皆で意見交換をしあいながら意識を高め合っていました。
もうひとつは、 “The Global Ambassadors” です。グローバルで活動したい学生の意識を高めることを目的としたサークルでした。コロナ禍で交換留学が危ぶまれましたが、このサークルに所属していたことでモチベーションを維持することができました。
▽留学に行きたいと思ったのは、いつからですか?
中学生の頃から、漠然と留学に関心はありました。大学では森あおい教授のゼミに所属したのですが、そこで学んでいたアメリカ史を、実際に現地の目線で学びたいという思いが強まり、本格的に留学を目指すようになりました。コロナの問題で一時は諦めかけたのですが、無事に3年生の夏から約1年間交換留学生としてカリフォルニア大学デービス校に行くことができました。
▽留学でどんなことを得ましたか。
学問的なことからいうと、 講義・課題・教授とのやりとりを通して、アメリカ社会を「資本主義の歴史」、「移民問題」、「食」など多岐にわたる切り口から研究していく学びの面白さを実感することができました。当初はアメリカ社会の問題を学ぶことが留学の目的でしたが、この留学をきっかけに農業や食の問題へと私の関心が発展していきました。
生活面から得たことは、自身の特技を活かして輝いている友人等に影響を受けて、自分の好きなことを大切にしていこうと思えたことです。
課外活動では、日本に関わる学生が集う “JASSクラブ” に所属していました。海外で育った人から見える日本文化や日本社会への目線が知ることができました。
▽留学先で苦労したことは、ありますか?
一番苦労したことといえば、語学です。社会科学系統の講義についていくのは、英語力のハンデがあって厳しかったです。英語で論文を読んだことがなかったので、留学当初はアカデミックな英単語を調べるのに時間がかかり、一つの課題を終えるのにとても苦労しました。
▽大学院では、今何を研究しているんですか?
留学先で関心を抱いたオルタナティブな農業についてさらに研究したいと思い、上智大学大学院グローバル・スタディーズ研究科 国際関係論専攻に進学しました。
現在は、飯島真里子教授の下で、「ハワイにおける地産地消に向けた有機農園と消費者の関係構築」について研究しています。
▽ハワイにフィールドワークは行かれましたか?
はい。机上の研究だけではなく実際に現地に行く重要性を改めて感じました。事前にオアフ島内の農家に連絡をとり、生産者側からの生産活動への想いや問題点についてインタビューしてきました。対面で話すことにより、他の関係者を紹介してもらったり、新たな課題を見つけ出すことができ、大変有意義なフィールドワークとなりました。可能であれば、今年度に再度訪問する予定でいます。
▽これから、どんなキャリアを考えていらっしゃいますか?
海外での異文化経験を活かしながら、ダイバーシティのあるグローバル企業で働きたいと考えています。
▽あなたにとって(明治学院大学)国際学部とはなんですか?
やりたいことや学びたいことを応援し、可能性を拡げてくれる場所です。ボランティア、海外留学、自分の関心事や学びたいことを深めるための機会を提供してくれるだけでなく、それに没頭できる環境が整っている場だと私は思います。
実際、私が大学院に進学する際にも多くの先生方が援助して下さり、大変感謝しています。
▽読者へのメッセージはありますか?
自分の好きなことを素直に受け入れて行動を起こせば、その先には適切な道が切り開かれていくのではないかと思います。
◯野本実来さん
中学1年生の3学期から3年生までアメリカ・ニューヨーク郊外の現地校に在籍
帰国後、日本の高校に進学
2019年 明治学院大学国際学部国際学科入学 森ゼミに所属
2023年 明治学院大学国際学部国際学科卒業
2023年4月~ 上智大学大学院 グローバル・スタディーズ研究科 国際関係論専攻に進学し、現在に至る。