取材日: 27-06-2024

取材者: 伊藤 朱夏

 

 

▽国際学部に入学した理由はなんですか?

  

 国際学部に入学した理由は、ダブルディグリー制度が良いなと感じたからです。私は、中高一貫校で1年間の留学プログラムがある学校に通っていましたが、実際には留学できず、とても悔しい思いをしました。そのため、大学生のうちに留学に行こうと決意していました。できるだけ長い期間留学に行くことができる大学を探していたので、国際学部国際学科のダブルディグリー制度に魅かれて入学を決意しました。また、ボランティアセンターでの活動が活発で楽しそうだと感じたことも、入学を決めた理由の一つです。

 

入学後に、ボランティア活動やダブルディグリー制度など、実際に取り組んだ活動があれば教えてください。

 

 まず、大学1年生の時、国際学科で様々な社会課題について学ぶ授業を受け、特に印象に残ったことがありました。田中圭子教授の「文化研究の基礎」の授業で、ファストファッションの裏側を描いた映画『The True Cost』を鑑賞したことです。もともとファッションに興味があり、母が服飾の専門学校に通っていたことも影響して、服について関心を持っていました。そのため、この映画を見た時は、衝撃的でした。服は親に購入をしてもらうよりも、母や親戚のお下がりをもらうことも多かったためアレンジをしてきたり、自分のお小遣いで友人と流行りの服を買いに行くことも好きでした。しかし、この映画を見て、自分が知らず知らずのうちに人権や環境に対して悪影響を与えていたことに気づき、何か自分にできることをしなければならないと強く感じました

 

 このような経緯から、ボランティアチャレンジファウンドの制度を利用して、大学1年生の冬に「MGclothet」という団体を立ち上げました。ファストファッションの裏側を知らない人が多いことが課題点だと考えたので、その問題を知ってもらい、何かできることを考えてもらうことを目的に活動を始めました。伝え方として、ネガティブな印象を与えるのではなく、ポップで楽しい方法で情報を発信することが大切だと思い、エンターテイメントを通じてメッセージを伝えるよう意識しました。例えば、学校の生徒から集めた古着を使って、白金祭でファッションショーを実施したり、YouTubeで「サステナブルファッションって何だろう?」、「洋服長く着続けられるコツ」などのコンテンツ動画をYouTubeにアップロードしたりしていました。また、ファッションをテーマにした雑誌を作成するなどの活動も行いました。


 さらに、学内の授業でファストファッションを調べていく中で、特に女性が過酷な労働条件で働いていることに気づき、ジェンダー問題にも関心を持つようになりました。そのため、ジェンダー問題に関連する授業を取ったり、友人たちとラフに

話し合える場所を作ることを目指して「UP!UP!UP!」という団体を立ち上げ、いくつかのイベントを実施しました。

 

▽明学×人のインタビューも受けていることを存じ上げております。そこで、MGClosetで、白金祭ファッションショーを行った祭に寄付金を集めたと記載されていましたが、どのように寄付金を集められましたか? とてもクリエイティブだと思うので、詳しくお聞かせいただけると嬉しいです。

 

 ファッションショーを開催する際に入場料を集めて、その入場料を寄付金として寄付しました。また、同じタイミングで、皆さんから集めた古着をその場で販売する活動も行なっていました。価格を決めずに行っていたため、お気持ち箱を設置し、入場料という形で寄付金を集め、古着はフリーマーケットのような形で販売しました。

 

▽MGclothetの活動で大変だったことはありますか?

 

 大変ではありませんでしたが、最後の方では団体のメンバーが30〜40人ほどに増えたため、コミュニケーション能力を活かしてメンバーをまとめることに重点を置きました。コミュニケーションを円滑にし、みんなが楽しく活動できるように組織作りを行いました。

 

▽ダブルディーグリーについて、最終的にはどのような結果になりましたか?

 

 ダブルディーグリー制度に参加するために、自分の団体の代表を他の人に引き継ぎましたが、結局新型コロナウィルスの影響で行くことはできませんでした。授業をオンラインで受けることもできたのですが、個人的には直接現地に行かないと、留学した気になれないと感じたため、最終的にダブルディーグリー制度を諦めることにしました。このために入学したのにと思いましたが、仕方がないと考え、活動に力を入れて専念することにしました

 

▽UP!UP!UP!の活動について、詳しく教えてください。

 

 ジェンダー系の課題について取り組むサークルとして「UP!UP!UP!」を立ち上げました。立ち上げ当初、私はフラサークルにも所属していたため、フラの代表もメンバーとして参加してくれました。そのため、団体の雰囲気はMGClothetやフラダンスの学生団体「Lokahi」の雰囲気もあり、各サークルの文化がミックスされた面白い団体となりました。

 

 フラダンスは、セクシーさや身体を性的な目で見られることが多いため、そのことに対して「なぜそう見られるのか?」と疑問を感じ、日常的な話題として取り上げることが多かったです。ジェンダーに関連するトピックを皆で話し合い、毎週

ディスカッションを行う中で、自分たちの疑問を共有しました。さらに、ジェンダーについての勉強会を開き、インプットした内容を皆で話し合い、アウトプットすることで理解を深めていきました

 

 

▽学外での活動はどんなことをされましたか?

 

 個人的にファッションの環境負荷について考える中で、一番大規模に改善できるのはエネルギー問題だと学び進めていくうちに感じました。そのため、Green Innovator Academyという講義に参加し、エネルギーに関する知識を深めました。Green Innovator Academyに参加した後、署名活動のメンバーとして活動しました。

 

▽大学生活は、団体以外に何かされましたか?どんな大学生でしたか?

 

 フラのサークルに入っていたのですが、それも少し忙しかったです。大会がよく開催されるため、部活のように週に数回練習し、近所のイベントに出演したりしていました。それが、リフレッシュになっていたと思います。アルバイトでは、海の家で働いたり、時代にとらわれないファッションに魅かれてラルフ・ローレンのアルバイトもしていました。また、シェイクシャックで働くなど、いろいろなことにチャレンジする大学生でした。

 

▽色々チャレンジされた藤井さんですが、進路を決める時に迷われましたか?またどんな道に進まれましたか?

 

 もともと起業を目指して団体活動もしていましたが、卒業後は消費者や生活者の行動を変える仕事に携わりたく、また知識を蓄えたいと思い、インフルエンサーマーケティングの広告代理店で1年間ほど働きました。現在はフリーランスとして、サステナビリティ関連のPRやブランディングを行う会社と、父が運営しているNFTギャラリー展の会社で活動しています。インフルエンサーマーケティングは、デジタル広告と比較して消費者との距離が比較的近いと考えています。消費者が見て、コメントし、購入に至るまでのプロセスがわかりやすく可視化できる点に魅力を感じ、インフルエンサーマーケティングの会社に入社しました。コミュニケーションを通じて、社会課題を解決できるような仕事に携わりたいと思っています。手法はさまざまだと思うので、今はとにかく色々なことを学びながら仕事をしています。

 

▽サスティナビリティ業界のブランディングで、課題だと思う部分は何ですか?

 

 サステナビリティ業界のブランディングで、課題だと感じている点は、最近では「サステナブル」というだけでは消費者に響かないということです。すでに多くのサステナブル商品が市場に出ており、単に「サステナブルです!」と売り文句にするだけでは、もう十分に売れなくなっています。サステナブル商品の問題は、売れなかった場合に最終的にゴミとなり、循環しないままで終わってしまうことです。だからこそ、「サステナブル」という要素だけで売るのではなく、発信力や本質的な質の良さなど、他の要素と組み合わせることが重要だと考えています。地球も人のことも両軸で考えられる仕事をしていきたいと思っていますが、その領域だけを極めるのではなく、違う分野にもヒントはあると思うので、常にアンテナを張っています。

 

 

▽社会課題について消費者に伝える時に一番好きなアプローチ方法ありますか?

 

 私は、体験を通して伝える方法が一番効果的で好きです。現在、サステナブルなプロジェクトでいろいろと活動しており、ご一緒している会社で、畑での無農薬・無化学肥料の野菜づくりをする体験を提供する研修をしており、携わっているので、月1回畑で土を触っています。そうした活動を通じて、サステナビリティについて頭では理解していても、実際に体験しないと自分ごととして実感できないという点を強く感じています。そのため、「体験して何かを広める」「イベントを通じて何かを広める」ことにとても興味があります。楽しみながら学べる体験を自分自身でも提供できたらいいなと思っています。

 

 

▽国際学部生へのメッセージをお願いします。

 

 明学には、ボランティアチャレンジファウンドなど充実した制度が整っているので、もっと多くの学生がこれらを活用すべきだと思います。ボランティアセンターは、私にとって一時期自分の居場所のような存在でした。毎日ボランティアセンターに行き、お昼も一人でいる時はそこでスタッフの方と話しながら食べていました。学生団体を運営していた時は、毎週火曜日にみんなでボランティアセンターでお昼を食べることもありました。メンバー全員が部屋に入れない時は、部屋を増やしてもらったり、外の庭でお昼を食べたりもしていました。もしやりたいことがあれば、協力してくれる期間もあるので、こうした制度を積極的に活用することで大学生活をもっと充実させてほしいと思います。

 

 また、やりたいことはどんどん挑戦した方がいいと思います。少しでも興味があることがあれば、周りの人に話してみると、意外と同じようにやりたい人が見つかるものです。仲間作りをすることが大切だと思います。私も今でも大学の友達と仲良くしていて、週に2、3回会ったり、月に1回くらい大人数で集まることもあります。

 

▽あなたにとって国際学部とは?

 

 私の大学生活の中では、インプットとアウトプットの重要性を教えてくれた場所だと思います。

 

 

▽何ゼミでしたか?

 

 最初の1年は大岩先生のゼミで、次の年からは林先生のゼミに転ゼミしました。

 

 

18KS藤井るなさん

2018年 明治学院大学国際学部国際学科入学

2018年 学生団体MGCloset 設立

2021年 ボランティア大賞受賞

2022年 明治学院大学国際学部国際学科入学

2022年4月〜 23年4月SNSマーケティングの広告代理店で勤務

2023年4月〜 フリーランスという形でサステナビリティに強みのあるPRやブランディングの仕事とグローバルなアートギャラリーで働いてます