阿部浩己ゼミ(17KS)の学生に2020年2月9日~2月15日に、韓国のソウルで行った校外実習について話を伺いました。校外実習テーマは「韓国で人権と平和について考える」でした。

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韓国の学生との交流

K.K.:私たちは、ゼミで「慰安婦」問題について勉強してきたけど、韓国の学生と「日韓問題」とかについて話す機会があったよね。何か、印象的だった話し合いとかある?

私は、<日本の教科書>について話した時に、「少なくとも私は、植民地支配について詳しく学ぶ機会はなかったけど、原爆とか空襲とかについては結構詳しく学んだ。」って伝えたら、韓国の学生さんが驚いてた事が印象的だったな。「記憶したい歴史」が国によって違うんだなって、改めて気付かされた。

 

M.Y.:私たちは、<フェミニズムに対してどう思ってるか>みたいな事を話したんだ。その話の中で、韓国の学生から「日本の学生はなんで政治に興味ないの?自分たちの住んでる国に興味ない事は、恥ずかしい事だと思う。」って言われて、ハッとした。韓国の学生は運動とかしてて凄いな、って他人事のように感じてたけど、私も彼女達みたいに自分の住んでる国を良くしたい!っていう気持ちで、政治に参加していかないといけないなって。

 

M.I.:私たちは、<平和の少女像についてどう思ってるか>という話をしたよ。

話す前の私たちは、韓国の学生は、平和の少女像に対して「反日」的な考え方を持っているのかなって思ってたの。けど、実際に話したら、「平和の少女像は、『反日』の象徴ではなく『平和』を表した像で、自分たちは『女性の人権』のために声をあげている。」って教えてくれたんだ。そういう話を生の声で聞く事によって、自分の考えていた事とのギャップを感じた。

とにかく、皆私たちよりも日韓関係に興味を持って、公平な視点を持って話してくれ事がすごく嬉しかったな。日本では「韓国はいつまでも一方的に引きずってる!」というように、まるで韓国が変な事を主張しているように捉えられてしまう報道をしているよね。そういうところをもっと改善していかないと、いつまでも日本人は「『慰安婦』問題は、日韓の問題だけでなく、女性の人権問題である」と、捉えられるようにならないのではと思ったな。

 

 

▽戦争と女性の人権博物館

K.K.:私たちは、ゼミで「慰安婦」問題について勉強してきたけど、この問題に一番直結していた資料館は「戦争と女性の人権博物館」だったよね。

解説部分が韓国語で私は全く読めなかったけど、展示されている資料自体は日本語で書かれていたことが、私はすごくショックだった。「日本が宗主国として、韓国(朝鮮)を植民地支配していた」という事を痛感したんだよね。

 

M.K.:私も日本が昔植民地支配をしていたっていう感覚があまりなかったんだけど、いろんな資料を見てよく理解できて…。そういう歴史認識が自分の感覚になかったっていうのが恐ろしいなって思ったな。

 

K.K.:本当に恐ろしい事だよね。でも、そこにあったのは決して「反日」の資料じゃなくて、ただただ歴史的な事柄が書いてあって。慰安婦問題とかは「反日」って日本では思われがちだけど、それで簡単に済ませちゃいけないなって思った。

 

 

▽グループ担当制

J.G.:食事はその日の担当の人が、お昼を食べるお店をあらかじめ探して案内してくれたんだよね。

 

M.K.:電車の乗り換えも担当の人たちが「次こっちに乗りまーす。」って案内してくれた。

 

K.K.:そうだったね。電車と言えば、向かう途中の乗り換えの時間がすごく短く設定されてた時があって、駅の中を16人で走るっていう迷惑な事をしてしまったよね。

 

M.K.:うん、800メートルぐらいの距離を走ったよね。

 

J.G.:そんな中でも、駅の中にあったK-POPのアイドルの広告を見て、そのアイドルが好きな人たちは歓声を上げてたよね(笑)

 

M.K.:そう、「写真撮って行くから皆先に行ってて!絶対追いつくから!」みたいなこと言ってたよね(笑)

 

 

▽植民地歴史博物館

K.K.:「植民地歴史博物館」は、日本人の研究員の方に解説をしていただきながら回ったんだよね。

日本軍に抵抗した人々が受けた取り調べや、拷問の雰囲気を体験できるコーナーがあったね。

 

A.T.:棺桶みたいな箱に入れられて、薄暗い箱の中で何日間も直立不動のまま耐えなくちゃいけないっていう拷問だよね。私は入らなかったけど、めっちゃ狭そうだった。

 

学生A:うん、すごく狭かった。

 

K.K.:それにこの資料館は「親日派」と「親日家」ついて、視覚的にも分かりやすく解説されていたよね。日本人はここに行って、ちゃんと知るべきだろうなって思ったかな、そういう意味でもすごい印象的だった。

 

 

▽景福宮

K.K.:「景福宮」はソウルの観光地として有名だけど、私たちは「乙未事変」のルートを見たよね。

 

M.K.:そうだね、乙未事変って、李氏朝鮮最後の王妃の閔妃を日本軍人たちが暗殺した事件なんだけど、その軍人たちが実際に閔妃を暗殺するまでのルートを実際に歩いたね。

よく韓国旅行に行くから、景福宮は初めてではなかったんだけど、そうやって意識したのって初めてで。深い部分を知っていくことで、物事の見方が変わるなって思ったな。

 

M.I.:そうだね、重要なことだよね。

 

 

▽水曜日のデモ

K.K.:日本軍「慰安婦」問題に対する「水曜日のデモ」にも参加したね。歌ったり踊ったりする、明るい感じの雰囲気だったかな。そこでK.M.さんと学生Aさんがスピーチをしてくださったよね。

 

ライター:どんなスピーチをしたの?

 

M.K.:校外学習を通して感じたことを中心に、私が日本語でスピーチをして、学生Aさんがそれを韓国語に翻訳してくれたんだ。

スピーチする前は、どういう反応されるのかなって結構怖かったんだ。でも、実際は皆さんすごく暖かく迎え入れてくれて、安心したし嬉しかったな。

 

K.K.:うん、デモ全体が明るくて優しい雰囲気だったことは間違いないんだけど…。んー、私は校外実習の中で一番悩んだ時間かも。

 

ライター:どうして?

 

K.K.:自分の日本人としてのナショナル・アイデンティティ戦った時と言うか…。

彼らがデモで訴えているのは、日本政府や旧日本軍であることも、「反戦」や「戦争責任」などの普遍的な価値観に基づいて、デモを行なっていることも、もちろん頭では理解してるつもりだったんだ。だけど、なぜか自分の中ではモヤモヤしてしまう気持ちがあって…。「なぜナショナル・アイデンティティが、普遍的なことを考える際に、邪魔をしてしまうのか?」とかを、しっかりと考えなくちゃいけないんだろうなって思った。

 

 

▽一番美味しかった韓国料理

ライター:校外実習の中で一番美味しかった物って何だった?

 

M.K.:難しいな、めっちゃ食べたもんね(笑)

 

A.T.:16人で行動してたから、カフェとかじゃなくて食堂みたいな所ばっかり行ったよね。

 

A.I.:私は辛いのが苦手だから、辛くないのは基本的に美味しかったかな(笑)

 

K.K.:私も辛いのは苦手だから、タッカンマリかな。締めのお雑煮が本当に美味しかった。

 

M.I.:私もタッカンマリが一番美味しかったかな。

 

M.K.:みんな綺麗に全部食べきってたよね。

 

学生A:焼肉かな、やっぱり。

 

J.G.:俺も焼肉が一番美味しかった。

 

M.K.:私は、広蔵市場で食べたトッポギがめっちゃ美味しかったかな。

 

A.T.:私は、めっちゃ辛かったヘジャンククかな。

 

M.K.:あれ美味しかったけど、食べ方難しかったよね(笑)

 

 

▽民主人権記念館

K.K.:ここは学生Aさんが本当に翻訳を頑張ってくださって…。本当にありがとうございました。

 

学生A:うん、大変だった(笑)

 

K.K.:韓国の民主化運動の時に、政府の支持で運動家の方々を拷問していた場所が、そのまま記念館になってたよね。だから、すごく生々しさを感じたな。

 

M.K.:螺旋階段があったけど、目隠しされて、どれほど登らされるか分からないのに、拷問される事だけが分かっている恐怖感の中で、ひたすらに歩かされたっていうお話を聞いて。その後に、実際に階段上がって、目隠しされてなくてもすごく怖かったから、連れてこられた人達は、本当に怖かっただろうなーって痛感したな。

 

J.G.:本当にね。俺もあの螺旋階段が一番印象的だった。

 

学生A:俺は、窓がすごく小さかったのが印象的だったかな。なんで小さかったんだっけ?

 

K.K.:確か、そこに何日間監禁されているのか分からなくさせるために、日光が入らないようにしてたと思う。それから、自殺させない事も目的だったと思う。

 

 

▽安重根義士記念館

K.K.:「安重根義士記念館」は彼の生い立ちとか、なぜ伊藤博文を暗殺するに至ったのかとか、処刑されるまでの人生とかを蝋人形で再現してた資料館だった。私は視覚的に面白いって感じた。

 

J.G.:うんうん。俺はここが一番見てて面白かった。

 

M.K.:私もそうかな。

 

K.K.:どんなところが面白かった?

 

J.G.:他の資料館は解説が中心だったけど、ここはストーリー性があって分かりやすかった。

 

M.K.:安重根がどういう人だったのかを知れたよね。日本だとテロリストっぽく捉えられがちだけど、その印象がすごく変わった。

 

K.K.:うんうん。ハルピン駅も再現されてて、安重根はもちろん、伊藤博文がうずくまっている様子とか、伊藤博文の周りの人やロシア兵の焦った顔とかが表現されてて、印象的だった。

 

 

▽先生とのエピソード

M.K.:阿部ゼミの学生はすごく皆仲良いし、みんな阿部先生の事が大好きだから、特に大きなトラブルなく、順調に日程をこなしたよね。

 

K.K.:うん。先生は、基本的には良い意味で私たちに任せてくださってたよね。移動中とかに、博物館とかで感じた事をお伝えして、それについて先生のお話を聞かせていただいたのも、貴重な経験だったなぁ。

 

J.G.:そうだね、先生との楽しかった思い出はめっちゃある。阿部先生がトイレの流すボタンがわからないって相談しにきたのは可愛らしかったな(笑)

 

M.K.:先生「サムゲタンが食べたい。」って、一日目ぐらいからずっと仰ってたよね。だから、最終日に食べられた時は、心の中で「食べられてよかったー。」って思ってた(笑)

 

K.K.:私は、憲法裁判所の建物を見た時の阿部先生が、この一週間で一番楽しそうにされてたのが印象的だったな。

 

M.K.:そうだったね、「嬉しいなあ」、「写真撮りましょう!」とか仰ってたよね。

 

 

▽実習全体を振り返って

J.G.:インプット量が多くて整理しきれない部分があって、勉強面的には大変だったかな。でも、ゼミ生の皆と仲良くなれたのが本当に嬉しかったな。

 

学生A:俺は韓国出身だけど、韓国の博物館とかあんまり行った事なかったんだよね。けど、校外実習で普段行かないような場所に、皆と一緒に行けて良い時間だったな。

 

M.K.:充実した校外実習だったなぁ。日本でも「慰安婦」問題とか学んでたけど、実際に平和の少女像とか見て、現地に行くからこそ感じる事もあるんだなって。百聞は一見に如かずだなって思った。

 

K.K.:現地に来たからこそ、初めて知った事もあったり、感じたことがあったから、本当に行けてよかったなって思う。1週間全力で考えて、悩んで、本当に疲れたけど、総じて楽しかったな。

 

(取材日:2020/07/29)